絶対見ちゃダメなやつ

絶対見ちゃダメなやつ

「だ、駄目って言ったのに……、なんで開けちゃったんですかぁ……?」

「……ひどいです」

「えぇ、な、なにをしてたって?」

「そんなの……、んっ、見ればわかるでしょお?」

「もう! なんで言わせたがるんですかぁ……」

「……その。ひとりで、……シてました」

「そうですよぉ!! シてました!! ひとりで!!」

「なんですかぁ! 自分から聞いといて、その冷めた反応は!」

「えぇ!? 『この状況でも手を止めないことに引いてる』って……!?」

「だ、だって……、あぁん、もう、いまさら……ゴニョゴニョ……」

「ち、違います! 見られて興奮なんかしてません!!」

「でももう、止められないんですぅ!!」

「わかるでしょう!? ここまでやって……んぁっ、途中で止めるなんて、はぁ……、出来ません!!」

「んえ!?」

「な、なんで腕掴むんですかぁ〜!!」

「離してください!」

「『たくさん血が出てるから、つい抑えつけちゃった』って……。はぁ……はぁん……」

「は、初めてなんだから仕方ないでしょお……」

「なんですか、その顔は? んはぁ……慣れてそうって……言うんですかぁ? そんなわけないじゃないですかぁ……」

「初犯ですよぉ。んんっ、……信じてください」

「え? 『俺が手伝ってやる?』」

「うそ、冗談ですよね?」

「いくらキミでも、そんなこと……、しませんよね?」

「そりゃ、お、男の人の……ゴニョが欲しくないと言えば、嘘になりますけど……」

「あ、ちょ、待って!」

「そんな……。力づくでなんて……、んぁっ!」

「あ……! あぁん!!」

「聞こえちゃう! お隣さんに、聞こえちゃうからぁ!」

「そんなに激しくしないでぇ……!!」

「ああぁ……ん!!!!」

「はぁ……はぁ……」

「もう……、ほんとに……、一緒に責任とってくれるって言うんですかぁ?」

「一緒に……」

「カレを隠すのを? 」

 僕が愛した彼女は、恋人からの暴力行為に悩まされていた。

 彼女の私生活を監視していた僕は、彼女があいつを手に掛ける現場を目撃した。

 バラバラに解体する現場を目撃した。

 もっと早くに彼女を救うことが出来なかったのは、ぼくの責任だ。

 だから、ここからの罪は、僕が全部背負おう。

 そう思った。

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